THE ORAL CIGARETTES 4th Album
Kisses and Kills
オフィシャルインタビュー
Text by 秦理絵
- THE ORAL CIGARETTESが、『UNOFFICIAL』から1年4ヵ月ぶりとなる4枚目のフルアルバム『Kisses and Kills』を完成させた。『トナリアウ / ONE'S AGAIN』『BLACK MEMORY』といったシングル表題曲と、配信でリリースされた「ReI」を含む今作は、日本武道館や地元・大阪城ホールでのワンマンライブなど初のアリーナワンマンの大成功を経て、オーラルが音楽的な自由度を高めながら、新たなフェーズへと向かっていくことを告げる1枚だ。いまやバンドの十八番となったヒップホップ的なアプローチだけではなく、エレクトロやR&Bという海外の最新トレンドを貪欲に吸収した作風が新鮮だが、どの曲もあくまで今のオーラルが鳴らす意味が明確に持っている。メンバー全員に話を訊いた
- ——新たなチャレンジも多いアルバムだから、矛盾するかもしれないんですけど、今のオーラルはすごく地に足を着けて、音楽と向き合ってるような気がしたんですよね。
- 山中拓也(Vo)地に足が着いてる?
- ——今までみたいに「パブリックイメージがこうだから、じゃあ、こういう曲を作ろう」とか、そういう動機じゃなくて。本当に鳴らしたい音楽をやってる感じがした。
- 山中ああ、たしかに周りからこう見られるためには、こういう曲を作らないとね、ではないですね。前回、アリーナ(武道館)をやるバンドだったら、こういう見られ方をするねんからって思いながら作ったのが、『UNOFFICIAL』やったんですけど。今は純粋に俺らがやりたい音楽とか、これから先こういうふうに向かっていくんやろうなっていう音楽を、そのままアルバムに落とし込めた感覚があって。自分で聴いてても、今まででいちばん面白いアルバムになった気がします。俺、1日に4~5回は聴いてるんですよ(笑)。
- ——アルバムを買いたてのリスナーみたい。
- 山中ホントそんな感じです(笑)。
- 鈴木重伸(Gt)今回、拓也が持ってくるデモの段階から、「あ、こういうのもあるんか」っていう新鮮さがあったから、作ってて本当に楽しかったんですよね。
- あきらかにあきら(Ba/Cho)拓也から出てきた曲がメンバーの予想を超えたんです。デモの段階から新しい挑戦も多かったし。これをどうやって伸ばしていこうっていうのを考えながら取り組んでいって。自分の人生の中でも過去最高なものができたなと思います。
- ——雅哉くんはどうですか?
- 中西雅哉(Dr)今回は制作の時から、楽しかった印象が強いんですよね。もちろん「わ~い、楽しい!」っていうことではないし、今まででいちばん大変な制作やったんですけど。
- ——デモ作りは、あいかわらず拓也くんと雅哉くんが中心?
- 雅哉そうですね。それも前までやったら、俺は拓也のイメージに追っかける作業が多かったりとか、拓也が落としていくものを拾って、イメージしていくみたいな作業が多かったんですけど、今回は足並みをそろえて作っていけた感覚もあって。
- 山中『UNOFFICIAL』が終わったあたりから、雅哉とは(他のアーティストの)音源とかPVをけっこう共有するようになったんですよ。ふたりが聴いてる音楽の重なる部分が増えてきてたから、それも今回の制作が楽しかった要因かなと思うんですよね。
- ——オーラルのインタビューで、冒頭から「楽しい」っていうワードが何度も飛び出してるのが初めてな気がしてるんですけど。かなりバンドのムードは良さそうですね。
- 山中まあ、でも苦しんだっすよ(笑)。マジで最初の1ヵ月ぐらいは、「一生パソコンの前に座ってるんじゃないか」っていうぐらい、クソみたいな曲ばっかりできてたし。