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Movie
Concept Visual

Lyrics
LIMIT
作詞、作曲:山中拓也
編曲:THE ORAL CIGARETTES
-
Don't stick your nose in my spirit world
Why can't I say what I want on the radio
I guess I’ll stop cause Japan is so serious
No, I can not! I can not! I can not not not not!!I screamed what you wanna say, right?
I screamed like before I grew up
Off to the another worldIt is not our limit
My song is the spirit
No one knows their real freedom
It is not your limit
Your song is the spirit
No one knows their real freedomSuppress and kick yourself
but your Happy臭わせる
感謝なんて fuck yourself
God is her whole world? do tell?
ha ha
倦怠感なんて上等
一生涯の栄光欠如
一瞬で結構
そりゃ平等
こりゃ衝動
もう絶好 -
It is not our limit
My song is the spirit
No one knows their real freedom
It is not your limit
Your song is the spirit
No one knows their real freedomDon't stick your nose in my spirit world
Why can't I say what I want on the radio
I guess I’ll stop cause Japan is so serious
No, I can not! I can not! I can not not not not!!Don't stick your nose in my spirit world
Why can't I say what I want on the radio
I guess I’ll stop cause Japan is so serious
No, I can not! I can not! I can not not not not!!It is not our limit
My song is the spirit
No one knows their real freedom
It is not your limit
Your song is the spirit
No one knows their real freedomIt is not our limit
My song is the spirit
No one knows their real freedom
It is not your limit
Your song is the spirit
No one knows their real freedom
Interview
- ざっくりした質問ですが、現在のTHE ORAL CIGARETTESはどういう地点にいると思っていますか。活動の指針、音楽的なアイディアも含めて。

- 山中拓也「元々オーラルは、オーバーグラウンドのカルチャーとロックのカルチャーの橋渡しをやれたらいいなと思ってやってきたバンドなんですね。だからロックバンドがいないイベントにもどんどん顔を出してたし、ロックバンドとしての矜持も持ってきたし、特に20代の頃は両方を大事にしてたと思うんです。でもコロナ禍がきっかけでライヴハウスの状況が傾いていく中で、俺らを育んでくれたロックシーンに還元したいという気持ちが強くなっていって。もっとロックシーンの真ん中で旗を振ろう、俺らがロックバンドのシーンを前進させていこうっていうモードについてはこれまでのインタヴューでも話してきたと思うんですけど、それをやっていくと同時に、いち人間としての自分達の幸せを大事にする気持ちも強くなっていったんですね。外からどう見られているかよりも、自分達の居場所を豊かにしていくことを第一にするようになったというか」
- ロックシーンの真ん中に立つ気持ちも、人間としてのプリミティヴな幸せを大事にする気持ちも、「居場所を耕す」という意味で繋がりますよね。
- 山中「そう、周囲がどうというよりも、周囲の環境を自分達が納得できる形にしていこうっていう気持ち。なるべく等身大でいることのほうが大事。そういうモードになったことで、俺が普段から一緒にいる仲間も変わっていったんですよ。本当に素敵やなと思う人とだけ一緒にいるとか、無理せず自分らしい姿でいられる場所だけを選ぶとか、そういうのが第一になっていった。そうなると、『大衆的』と呼ばれることをするよりも、自分の美学を貫き通すことを大事にする仲間が増えてきたんですよね。で、そうやって自分を貫くことのカッコよさもわかりつつ、俺は100%その姿勢に寄り添える人間ではないなっていうことも最近感じてきたんですよ。それは人間性としても、音楽観で言っても」
- 大衆に向けたバランス感覚をどうしても持ってしまうのが山中拓也なんだと、改めて気づいた。
- 山中「そう。自分が作る曲って、どうしてもバランスをとってしまうところがあって。それを辞められない自分がいるんです。ある程度のキャッチーさを担保してしまうし、潜り切らないところが絶対にある。で、一時期そのことに悩んでたんですよ。どっちつかずのままで行ってええんかな?って思っちゃって。曲ができたら、周りの仲間と聴かせ合ったりするじゃないですか。たとえば……そういう時に『AメロからBメロまでは新しいけど、サビはやっぱり山中拓也だね』って言われるんですよ(笑)。要は、大衆的かどうかよりも楽曲の空気感を優先する人からしたら、サビまで行き切ってくれよっていうニュアンスがそこにあって。でも、そのどっちつかず感こそが他の人にない個性なんやってことを認識し始めて。俺はキャッチーさを外せない人間やと受け入れた上で、それを強みに変えていこうっていうのが、今制作している楽曲のモードやと思います。日本人が持つ音楽性を大事にして、その基盤がもはや変わらないものとしてあって。そこに付随する形でダンスミュージックやガレージロックなどなどのジャンルも吸収していくっていうスタイルは、むしろ『これは日本で売れない』と言われる音楽をオーヴァーグラウンドに持っていける可能性になっていくんじゃないかと。自分の中で『中途半端さ』だと思っていた部分こそが、新しいロックの形を作るにあたって必要不可欠なものなんじゃないかっていう感覚になってきましたね」
- 中途半端さと言ったら悪いニュアンスになるけど、それは、新しいものを新しい形で混ぜられる感性のことだとも言えますもんね。
- 山中「たとえばハードコアとかミクスチャーの友達が周りにいて、ひとつの音楽を突き詰めている姿に対しては純粋なリスペクトがあるんですよ。形を変えないカッコよさがある。でも時代がどんどん移り変わっていく中で、俺の場合は、ひとつのことを突き詰める思考回路だけではやれないんですよね。むしろ、『これは日本で受け入れられないよ』って諦められている音楽もどんどん消化して、それをキャッチーなものに昇華したり、自分の音楽観を注入したりしながら、日本のオーヴァーグラウンドで歓迎されるものにしていきたい。それがオーラルと俺の現在地点ですかね」
- 今の話について、ふたつ訊きたいです。まず、「自分は中途半端だな」と悩んでいたのはどれくらいの時期で、「この中途半端さが武器になるはずだ」と思えたのはどうしてだったのかを教えてもらえますか。
- 山中「正直な話、100%悩んでたのは去年の1年間でした。それまでは、いろんな要素を混ぜるのが面白い!っていうピュアさだけでやってたんですよ。でも、ひとつの音楽に特化して突き詰めている友達が周囲に増えてきたがゆえに、その人達から『オーラルいいね!』って言ってもらえてない感覚が強まっていって。それがめっちゃ悔しくて、去年1年は100%悩んでました。それが今年に入って、悩みが50%くらいに減ってきたかな。彼らに『格好いい!』って言われたい気持ちはいまだにあるんですけど、何かひとつに振り切ったら振り切ったで『面白くない』って言われる気もしていて。なんなら、変化を楽しむよりも突き詰める側に染まり切りたくない自分もいるんですよね。そういう自分自身の特性にしっかり向き合った結果として、100%で悩んでいたものが50%くらいに減った感じがします。じゃあその50%を何が解消してくれるのかと考えたら、中途半端やと思っていた部分を武器にした楽曲をどんどん世に出して、これが格好良いと認めさせるしかない。ひたすら曲を作って、動き続けるしかない。そういうふうに考えられるようになってきました」
- もうひとつ伺いたいのは、「中途半端さを武器にして新しいロックを作る」という点についてです。それは、元々持っている音楽的な要素をさらに振り切ってごちゃ混ぜにしていけば新しい音楽になるはずだ、という気持ちなのか。日本では受け入れられないとされている音楽に手を出していくのが面白いという話なのか、どんな感覚なんですか。
- 山中「まず前提として、俺がめっちゃ飽き性っていうのがあって。ずっと固定で『好き』と言えているアーティストが凄く少ないんですよ。ある時期めっちゃ好きになっても今は聴いていない音楽はたくさんあるし。で、飽き性であるがゆえにどんどんディグって新しい音楽に出会い続けているわけですけど、その中には当然、これは日本では無理やなって感じる音楽もあって。でも自分が好きやと思った感覚は自分の曲で表現したいし、俺が音楽にどう向き合っているかを曲に落とし込むことは諦めたくないんですよね。売れる/売れないの話というよりは、このジャンルを聴きやすくなりましたって言ってもらいたい(笑)」
- 扉くらいは作りたいと。
- 山中「そうそう。だから何でもかんでも『次はこのジャンル行こう』っていう感じでやってるわけじゃなくて、あくまで自分が好きやと思っているものを採り入れている感覚です。要は、超シンプルなことをやってますね」
- よくわかりました、ありがとうございます。今話していただいたことが端的に表れているのが、7月にリリースされる新曲“LIMIT”だと思いました。16ビートが一定に刻まれ、基本的にはループの構造にスペイシーな音がインサートされ、最後にギターフレーズの変化一発でトランシーなところに持っていくという、真っ向からダンスミュージックの論法をやっている曲だと感じたんですが、これはどんなところから出てきたんですか。

- 山中「遡ってコロナ禍の話になるんですけど、当時、時間があるから曲をどんどん作っていこうというモードだったんですね。ただ、それが『SUCK MY WORLD』を作り終えたくらいのタイミングで、ゴスペルやソウルをどう消化するか?っていうのをやり切った後だったので、とにかくいろんなタイプの曲が出てきてたんですよ。で、さすがにこの曲をオーラルでやってもオーラルの枠で捉えてもらえないかもしれないなって思うものが何曲かあって。それまでは、新しいタイプの楽曲を出すたびに『これがオーラル?』ってびっくりされて、それをライヴでやりながらオーラルらしさとして受け入れてもらうっていうことをやってきたんですけど、その時はいい意味でも悪い意味でも欲が出ちゃって」
- 欲?
- 山中「オーラルの枠をはみ出すくらいの楽曲が出てきたのなら、『オーラルだから聴く』っていう世間のフィルターを取っ払ってみたくなっちゃったんですよ」
- 自分の音楽の力一発で世に問うてみたくなった。
- 山中「そうそう。『SUCK MY WORLD』を経た上での自分の実力を計りたかったし、オーラルだからっていうフィルターを外したところで純粋な評価が欲しかったんです。そこから、ほぼ英語詞で作りたいように作っちゃおう!っていう曲が5、6曲くらい出てきたんですよ。ただ、他のメンバーでやるのは自分の中でしっくり来なくて。あくまでオーラルの4人で振り切ったところに行って、それがどう受け取られるかを見てみたかったので、『コロナ禍で時間があることやし、この曲達をスタジオで一発録りしてみるのはどう?』って提案したんですよ。そうすることによって、今までのオーラルにはないジャンルを学んだり新しいものが生まれたりするかもしれないなって、要は実験みたいな感覚でいろんな曲を作っていて………みたいな時期に生まれたのが“LIMIT”なんですけど」
- そうして実験的なスタンスで作った“LIMIT”を今こそ出したいと思ったのは、先ほど話していただいた音楽的なモードと合致したから? 拓也くんならではバランス感とキャッチーさが自然と出ること、それこそが武器だと思えた今だから出せたところもあったんですか。
- 山中「その当時に作った5、6曲の中でもずーっと聴き続けてきたのが“LIMIT”なので、何度も『“LIMIT”を出したい』とは考えたんですけど、なんとなく今じゃないな、今じゃないなって思い直すばかりだったんです。でも言われた通り、今なら自分とオーラルのモードに合致するなと思いましたね。それに、もうアンチの声に慣れてしまったところもあって(笑)。だからこういうダンスミュージックを出しても大丈夫やと思ってました。だってね、“BUG”を出した時も“Enchant”を出した時もアンチの声はあったのに、今や“BUG”はライヴでめちゃくちゃ盛り上がる曲になったわけですよ。そういう経験もあって、お客さんに対しては『何を出しても大丈夫や』っていう感じになっていて。そりゃアンチの声も出てくるわな〜みたいに免疫がついちゃってる(笑)」
- 強いな(笑)。
- 山中「だからやっぱり、変化し続けること・新しい何かを探し求めることのほうが俺にとっては正論なんですよ。アンチの声を恐れて変化を拒むほうが、自分に対して嘘をつくことになるので。そういう意味では自分自身に対する答えはあるんです。自分の気持ちに正直に、変化していくこと。それをやっていきたいし、音楽に限らず、生きてたらファッションだって好みだって変わっていくじゃないですか。まあ、ある意味で言ったら諦めですよね、『俺は常に変わっていく人間なんや』っていう。その上で、自分自身がカッコいいと思えるものを作り続ける。それをハードルにしていこうっていう気持ちでいます」
- 改めて、当時作った5、6曲はどういう気持ちが表れたものだったと思います? 本当はこういうのやりたかったんだよね!っていうものが形になっていく喜びだったのか、ご自身の音楽細胞がオーラルをはみ出してしまった難しさを感じていたのか。
- 山中「ほんまに音楽への興味、自分の実験的な趣味やったと思います。当時はMuseに再熱していたことを覚えているんですけど、それこそ『SUCK MY WORLD』を作り上げたり、新しい素養を獲得したり、今までにないオーラルを追い求めるがゆえに忘れかけていた『昔好きだった音楽』を集めてミックスしたらどうなるんやろ?っていうのがあったんですよね。そういう意味での実験の位置づけでした」
- 当時作った5、6曲の中でも特に“LIMIT”が好きだったのはどういうポイントが理由なんですか。
- 山中「元々ベーシストとしてバンドを始めたのもあって、ベースとドラムがどう動いているのかという部分に音楽的な本質を感じる傾向があって。ただ、オーラルはギターを軸にして作っちゃうことが多かったんですよ。何故そうなっていたのかを今の自分が分析すると、ギターのリフやメロディに注目してもらうことが多かったので、そこの部分の聴きやすさとかわかりやすさにフォーカスして曲作りするようになったと思うんです。もちろんベースラインの話もあきら(あきらかにあきら/Ba)と交わしながら作っていましたけど、ベースは絶対にこれがいい!みたいな話は少なくて。でも自分自身が納得できる音楽をやり続けていこうと決めたタイミングで、やっぱりベースラインとドラムの絡みにこだわらざるを得なくなっていったんですよね。で、印象的なベースラインのループを軸にして作っていく楽曲が生まれ始めて。たとえば“BUG”もベースラインが効いている楽曲ですが、やっぱりそういう曲のほうが気持ちいいなって改めて実感してきて。“LIMIT”が好きな理由は、そこかもしれないです」

- まさに。「ここから楽曲の快楽度がもう一段上がりますよ」というサインもベースが担っていますよね。ベースがグググッと曲を押し込んで場面が変わっていく。Muse以外にもリファレンスになった音楽はあったんですか。
- 山中「めっちゃあったと思うんですけど……自分が元々Red Hot Chilli Peppersのコピーバンドをやっていたのもあって、ベースラインまで口ずさめる曲が好きなんですよ。歌えるベースラインと言ったらL'Arc〜en〜Cielのtetsuyaさんもそうですし。逆に言うと、“LIMIT”や“BUG”を作る中で、俺は歌心のあるベースラインが好きでいろんな音楽を聴いてたのかもしれないなっていう発見もありましたね。それこそMuseもベースが面白いし、Museはギターをギター的な使い方をしてないと思ってるんですよ。基本ギターとベースが同じところを動いて、それが太い軸になっているというか。自分の好きな音楽を振り返ることで、じゃあギターリフと同じ感覚でベースも作ればええんや!っていう気づきがありましたね」
- 意外とシンプルな気づきだったんですね。
- 山中「超シンプルで、ベースを主軸にした上でギターを飾りにする渋さもわかり始めたというか。だから“LIMIT”のギターは俺が作ったフレーズを中心にシゲ(鈴木重伸/Gt)に彩ってもらった感じです。そうやって俺が好きやった音楽を分解していった上での実験性と渋さが、“LIMIT”には入っていると思います」
- そう考えると、“LIMIT”があったから“DIKIDANDAN”などの楽曲ができたとも言えそうですよね。ギターがピロピロ飛ぶだけではなく、ベースラインとギターリフが一体になって走る気持ちよさが軸になっている曲。
- 山中「ああ、そうかもしれないですね。『SUCK MY WORLD』以降のタームでリリースした楽曲には共通して、『実験を経たから作れた』みたいな部分がたくさんあると思う。じゃあ何故そこまで開けたかと言ったら、実験やと思って曲を作るのは気が楽やったんですよ。いい意味で『オーラルをやらなくてもいい』っていうのが解放感になって、歌い方に関してもオーラルっぽさを意識しなくてもよかったので。人に楽曲提供する感覚で曲ごとに歌い方も変えていったし。マイクの設定もイコライザもオーラルとは全然違う感じにしよう!ってエンジニアの方と話してレコーディングした記憶もありますね。オーラルのやり方とはまったく違うことを楽しんでました」
- そう考えると“LIMIT”はオーラル史においても重要な楽曲だと思うんですが、とはいえディスコグラフィの中ではオルタナティヴな立ち位置な楽曲だとも感じるんですね。これが新しい布石になっていくのか、どんなふうに受け取られるのかがわからない感じなのか、どうです?
- 山中「そこに関しては最初の話に戻っちゃうんですけど、受け取りにくいであろうサウンドを受け取りやすい形にして手渡すとか、日本人に馴染みのあるものを難しいサウンドに混ぜていくとか。そういうことをどれだけできるか?っていう気持ちで“LIMIT”を送り出す感じですかね。なので、どんなリアクションがあるかな?っていう気持ちでいます。これから出すであろう楽曲にも、そういう部分を散りばめたんですよ。超ポップな部分と“LIMIT”みたいな楽曲の中間を探ったというか。だから今は、改めてオーラルで実験している感覚なのかもしれない」
- オーラルには、定期的に実験期が訪れる印象があって。『SUCK MY WORLD』のタームも、固定化されたロックのスタイルを打破するための音楽的な実験を行なっていたと思う。『AlterGeist0000』の季節も、音楽的な技術とヴァリエーションを会得した上でのロックサウンドを追求する実験をしていた気がする。先に答えがあってアルバムのタームができていくというより、まずトライアルがあってから答えを見つけていくのがオーラルの面白いところだなと思って拝聴しています。
- 山中「……そう考えると、『これを作らなければならない』みたいな感じで曲を作っていたのは最初の3年くらいだったんでしょうね(笑)」
- はははははは。
- 山中「『UNOFFICIAL』以降はずっとトライアルして、これやったら面白い!みたいなのを繰り返してる気がする。それも単純なことやとは思うんですよ。音楽に対する理解度が深まっていくにつれ、これ面白い!って思えることが増えていくので。その面白さに対して純粋に突き進むようになっていった結果、実験的な姿勢になっていってるんですかね」
- “LIMIT”を作った当時は「オーラルからはみ出す音楽」として位置づけていたわけですよね。だけど今、こうして“LIMIT”をオーラルでリリースできる。それは、聴く側にとっても面白いと思える実験を繰り返してきたことで、凄く自由な在り方を獲得できたんだっていうことだと思うんですよね。拓也くん的にはどうなんですかね?
- 山中「そこはどうなんやろうな……ただ、少なくとも“LIMIT”が一番オーラルらしさに近かったんですよ。俺はやっぱり、オーラルで全英詞はやりたくなくて。自分の声質と英語が合わないとわかってやってきたところもあったし、だからこそ声を加工することで英語に合うものになるんじゃないか?っていう実験でもあったんですよね。ただ“LIMIT”は少しだけ日本語も入っているし、2Aの歌詞には“BUG”や“ENEMY feat.Kamui”にも繋がるストーリーが見えるし。そういうことも含めて“Limit”は実験的な楽曲でありながらもオーラルに近かったし、何より、俺自身が普遍的に格好いいと思えている曲であることが大切で。特に、自分は中途半端なのかな?っていう悩みを経た今の自分にとっては『絶対に格好いい』と言い切れることが凄く大きいんですよ。なので“LIMIT”はリリースしないともったいないし、世に出して反応を見てみたい気持ちがありました」
- 今の拓也くん自身の琴線として、ポップミュージックの向きとか、トレンドがどうとか、そういったことをある程度察知しながらリリースを決めていくところもあるんですか。それとも、マーケット論は抜きにして突き進んでいる感覚なんですか。
- 山中「俺のディグに関しては、ポップミュージックの動向を探るような感じじゃなくなってるんですよ。今何が流行ってるのかより、これ新しいな!っていう刺激をずっと探る感じなので。そうなると自然に、海外の若いアーティストの作品を聴くことが増えていくんですよ。……ただ、そういう姿勢に関しては危機感もあって」
- このままでは閉じていくだけだな、みたいな?
- 山中「そう。俺自身はいちリスナーとして音楽を楽しんでいるけど、キッズ目線からは離れていくんじゃないかなっていう気がしていて。小学生の時にL'Arc〜en〜Cielを聴いてました、ORANGE RANGEを聴いてました、175Rを聴いてました!みたいな感覚も、オーラルの中期くらいまではあったんですよ。中学生の頃にライヴハウスに行くようになって、テレビには出ていないけど格好いいバンドに出会いました!とかもそうですけど、人生の環境として出会った大好きな音楽を大事にして、キッズの目線を持ってバンドをやってた気がするんですよね。でも活動を続ければ続けるほど音楽そのものを好きになっていって、新しい刺激ばかりを欲するようになって、俺が小さい頃から好きだった音楽が小さなものになってしまった感覚があるんです。だからこそ、自分が小さい頃から好きだったポップな音楽と、日本では受け入れられにくいであろう音楽を繋げようとしているんやろうなっていう気がしていて」

- なるほど。ポップとオルタナティヴの橋渡しというのは、人生の接続という意味合いでもあるんですね。
- 山中「そうなんやと思います。ポップミュージックの動向とかを意識せず、ただ新しい刺激を求めて音楽をディグっている自分はどうなのかな?って思う瞬間があるし、それだけではあかんなっていう危機感もあります」
- そういう意味で、この先はどうしていこうと思ってるんですか。
- 山中「うーん……俺のMCみたいな自然なノリで曲を作ったら“ONE’S AGAIN”みたいに雄大な曲になるんやろうなっていうことは気づいてるんですよ。ただ、このサウンドがカッコいい!みたいな曲も作りたいし、ライヴハウスのフロアで爆発している衝動を見て『この衝動をサウンドに落とし込みたい』っていう気持ちも大事にしたいし……それだけだと自分の殻に入っていくだけなのもわかるので、バランスが大事っていう話なんですけど。でも、俺はおそらくオープンな曲を作るだけでは病んでしまうんですよ。だから、たとえば“ENEMY feat.Kamui”とか“BUG”を出した後に“YELLOW”を出すとか、そういうふうにして自分のバランスをとってる。それができなくなったら引退すると思いますし、変わっていく感情とか衝動をいろんな曲で表現できなくなったら、俺にとっての音楽の魅力を感じられなくなったということなので。表層的な部分で何が流行ってるとか、そういうことは考えずに作りたいっていう本音がありつつ、バランス感覚はずっとある気がします」
- それこそ武器だと思うし、ニーズの奴隷にはならないという気持ちから生まれる新境地がたくさんあるのが面白いんですよ。
- 山中「これはちょっと違う話かもしれないけど……なんかね、Limp BizkitがSNSでバズった話を聞いて、めっちゃ嫌やったんですよ」
- ははははは。TikTokでいきなり回るようになりましたよね。
- 山中「Machine Gun Kellyとフレッドが一緒に曲を作った流れもあるのかもしれないんですけど。で、Limp Bizkitを解説!みたいな動画も増えて。なんか、俺はそれが気持ち悪いなと思ってしまって。そもそもLimp Bizkitを本当に好きなヤツは広めたいとか思わないでしょうし(笑)、Limpが表層的な部分で使われてバズるとか、Limpが雑に扱われてるとか、そうなると今の子達に対してどんな音楽を提示したらいいのかがますますわからないんですよ。『オーラル大好きです!』って言ってくれる子達が新しい音楽を知りたい時に、よく行ってた服屋の兄ちゃんがいろんなバンドを教えてくれたノリで伝えてあげたい気持ちはあって。でも俺らにとって大事な音楽が消費されたり雑に扱われたりするなんて、ミュージシャンは誰も望んでないから。そういう軽いノリは耐えられないし、そこから距離を置きたい自分もいる。だから外から見たら、山中拓也はどんどん殻にこもって潜っていってるように見えるんやろうなって。そういう意味で、この先に対して悩んではいます。『それでええんか?』って言ってる自分もいるし、『本来、後輩のフックアップなんてせんでええやん』『シーンがどうとか言わず、一匹狼でやればええやん』って言ってる自分もいるんです。やりたいようにやっていくことと、俯瞰して見た自分に『それでええんか』って思うこと……いろんな自分を抱えながら走ってきた数年間があるので」
- そこまで乖離している自分は共存できるものなの?
- 山中「うーん……乖離か。その両方がせめぎ合ってるのは何故かって、どちらにも正義を感じているからやと思うんですよね。思うように突っ走ることも、仲間を大事にすることも、どちらも大事。だからこそ悩んでいて。ただ、後輩のフックアップって本来はほんまにわかってくれるコアな人しかわからないことやし、俺らのファンにも『そんなことせんでええやん』っていう人がいることも気づいてるんです。でも俺は今までやってきたことを嘘にしたくないし、後輩や仲間と一緒に場所を作っていくことで俺自身の心が豊かになった自覚もあるので。そういう喜びをみんなにも味わって欲しいし、後輩や仲間を大切にすることで広がるものがあるんだよって伝えたいんですよね。……ただ、それをやったところで自分が報われるかと言ったら、報われないんですよ」
- 言い切る?
- 山中「それでもやると決めたからやっているのが俺自身やし、『思い切りやりたいことやれよ!』って本当に思ってるんです。でも俯瞰しているほうの俺は冷静に『ビジネスにはならへんで。どうせ裏切られて終わるんちゃうか』って言うわけですよ(笑)。完全にツーフェイス状態なんで、表裏一体どころか完全に乖離してるとは思います」
- 側から聞いていると、閉じていっているどころか音楽に対してどんどんオープンになっていると思うし、ご自身の乖離の話に関しても、非常にオーラルらしい悩みを改めて抱えていると感じたんですよね。ある種の中途半端さが武器になっていくという話はまさにそうですが、ポップに対する抵抗がポップな音楽になってきたバンドだと思うし、本音と冷静さの摩擦が音楽のインパクトに映ってきたとも思うんです。それに、乖離した自分に悩んでいるからと言って薄味の音楽を作ったことは一度もないじゃないですか。だから、閉じっていっているというより、きわめてオーラル然とした混沌の中で闘っているんだなと感じる話でした。あえて勝手な言い方をしますが、その悩みの中をレッツゴーだぜっていう感じです。
- 山中「すっごい嬉しいですし、1週間前にJUBEEにも同じことを言われたんですよ。『拓也くんは一生悩みながら行くんだよ。そうでなきゃ拓也くんは格好よくなくなるよ』って言われた(笑)」
- はははははは。
- 山中「俺は苦しみから解き放たれるために心の声を聞いてやってるのに!って思うんですけどね(笑)。でも呪縛からはなかなか解き放たれてない。それは最近また感じてるし、キツいなあって思いますね。『AlterGeist0000』の後にまた迷路に迷い込んだ感覚はあるんですよねえ」
- そのまま苦しむべきだよ!なんて無責任なことは絶対に言えないけど、曲は悩んでないし、音楽が雄弁だと思うので。
- 山中「そうかあ。……デビュー当時、ヴォーカリストとして自分を確立するために『俺はどんな人間やったっけ?』って突き詰めて考えた時期があったんですよ。それをまたやってますもん(笑)。俺が好きな人間ってどんなヤツやったっけ? 俺が好きな音楽って何やったっけ?って。まあ、そうっすね。実は悩んでいる時期ではあります」
- さらにひと足先に新曲も聴かせていただきましたが、生きるという衝動に対して素直な歌だと思いましたし、その衝動とは何なのかがテーマになっている曲だと感じました。それはこの“LIMIT”にも通ずるところで、踊るという衝動に身を任せて命の輪郭を感じるための曲だと思うんです。「生きる」ということに対して凄くオープンな曲達だし、サウンドは様々でありつつ、メッセージはひとつであるということに説得力を感じましたよ。
- 山中「……このインタヴューが世に出たら、また読みます」
- はははははは。そう言っていただけたら冥利に尽きます。
- 山中「ほんま、今は大事な時期なんですよね。いろんな人と話しながら、落としどころを見つけたいと思ってる。ホールツアーも始まるし、人と交感しながら何かを掴みたいですね。大きい場所は多いですけど、規模感は全然意識してなくて。前回のホールツアーを回った時はショー的な部分が多かったので、そこで頭をフル活用しながら歌うことを学んで。『Kisses and Kills』のアリーナツアーをやった時は正直、頭を使いながらやるのが面白くないと思っちゃったんですけど、『AlterGeist0000』のツアーでアリーナ公演をやった時は『アリーナも面白いな』に変われていたので、今回のホールツアーもそういう感覚になれたらいいな、と。俺とオーラルの成長・変化を感じられる機会になるんじゃないかなって気がしてます。始まってから理解できることがたくさんあると思いますね」
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Photo: Satoshi Hata
Interview: Daichi Yajima
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